後方支援

最終編集日 : 芦部玲奈
縁の下の力持ちになるためには?

 フィールドワークのチームメンバー、それがイコール旅に出る者であるとは限らない。様々な事情で出発地に留まり、遠方からサポートを行う者もいるかもしれない。そう、後方支援者の存在も忘れてはならないものである。

 プロジェクトによって、後方支援の役割や必要性はさまざま。旅先では難しい技術的なサポートやルーティン作業を行うため。緊急時に適切な対応をとるため。落ち着いた環境からリサーチの状況を分析し、次の動きを検討するため。このように、バックオフィスで行うことが可能な業務は多岐に渡る。懇意にしている専門家など、チームのアドバイザーと言うべき存在がいれば、それも後方支援者のひとりとして考えられるかもしれない。

 後方支援をスムーズに行うために最も必要なもの、それは旅に出るメンバーと後方支援者の間の信頼関係。いったん旅に出てしまえば、両者の時空間はどんどん離れていく。当然顔を合わせることはできないし、連絡は途絶えがちになることを想定しなければいけない。このとき、「知らせがないのは順調な証拠」と、どしりと構えることのできる心持ちであるかどうかが肝要。旅に出たメンバーは、旅に浸る必要がある。遠隔地から次々とコンタクトをとり、現場に負担をかけてしまうのは野暮である。少しでも不安な要素があれば、旅に出る前にすべてつぶすこと。緊急時の対応についてはっきりさせること。そうして準備万端、あとは見守るだけというのが正しい後方支援のあり方だ。

 また、旅立つ者たちに対し、後方支援者が一抹の寂しさを感じるのはよくあること。事前に信頼関係を築き、後方支援の存在意義をはっきりさせておくことが、後方支援者の支えになることも付け加えておきたい。

経験談1

 旅先での負担は軽い方がよいが、定期的なレポートが必要な場合には、簡易なフォーマットを用意し、それを記入・送信する者を事前に決めておくとよい。旅するリサーチ・ラボラトリー(TRラボ)では、旅の状況を比較的客観的に捉えることができ、また多少の余裕がある者として、若手(当時学生)のリサーチアシスタントを記入者とした。これにより多少の遅れはありつつも状況の共有がなされ、さらに掬い上げる機会が少なくなりがちな若手チームメンバーの視点がつまびらかにされるという副次的効果も得られた。

経験談2

 旅から戻ってきたあとに、旅立った者と残った者が、もう一度チームとしてリユニオンする時間がとても大切である。TRラボでは、旅から戻った直後にゆっくり両者が話せる時間を毎年設けていた。お茶をしながら、あるいは飲みながらでもいい、裏話たっぷりの報告会を開いて、旅情のお裾分けをしてもらおう。

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Recommended Notes

2018.03.09 mamoru
TRラボではいろいろと同時化*(詳しくは成果物を御覧ください。)して来たが、チームビルディングがうまくいっているとこのスピードや精度があがる。簡単に言うと信頼関係がすでにある程度あるからだろう。逆にここを怠ると……。
2018.03.09 mamoru
リサーチトリップの終わりには長い道のりを走りきったという強烈な感覚がともない、やりきった様な気になる。ともすればそこで燃え尽きてしまいそうになることもあるが、プロジェクト全体としてはある段階が終わっただけであって最終的なリサーチのアウトプットへむけて、プロジェクト自体はそこから折り返しの行程が続く。本当のゴールはプロジェクトの最終的なア…