小笠原諸島への船

最終編集日 : 下道基行

小笠原諸島へは基本的に船でしか行く事ができない。
東京のビルが立ち並ぶ港から船に乗り父島へ向かう。到着するまでは24時間もかかる。
このご時世、飛行機なら地球の裏側まで行けてしまう時間。

小笠原諸島に人々や物資を運ぶ船は「新おがさわら丸」。6日に1便。
東京湾を出ると船内では、すぐに携帯電話が繋がらなくなる。船内の人々がスマホを手から放す。三宅島など、たまに島が接近すると、急に少しの間だけ電波が入り、少しだけ船内がざわつく。スマホを手にマップに繋いでみると何もない海の真ん中に現在地の矢印だけが浮かんでいる。周囲には海と水平線しか見えないし、電話やインターネットとの接続が一切立断たれる時間を、本を読んだり、甲板に出て海を眺めたり、友人たちと会話をしたり、思い思いの時間を過ごす。小笠原に空港建設の話は実際過去にあったそうだが、海を埋め立てて作っても滑走路としては短すぎる事、さらに世界でも貴重な動植物等の自然環境の破壊を考え、取りやめになったとう。(緊急用には「飛行艇」が使用されている)

「新おがさわら丸」は、800人程度乗船可能。つまり、6日に1回、この島へやって来れる人数は最大でも800人だけだということ。さらに沖縄やサイパンやグアムなど南国の観光地で見られるような、巨大な観光ホテルなどは全く見当たらない。船がちょうど”狭い入り口”となって過剰な観光客の流入を防いでいるからこそ、様々な自然だけでなく、本州ではほぼ見る事の出来ない戦争の生々しい遺構や様々な歴史が残り、独特ののんびりとした時間が小笠原の風景は続いている。

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